こんにちは! 松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員のYuriです。ブロードウェイミュージカル初心者の私が、ミュージカルや演劇の素晴らしさについて気ままに発信!今回のブログは、ビリー・ホリデイに注目し、彼女の人生から“究極の美学”とは何か、学んでいきたいと思います。彼女の生き様は当時の人々の心を明るく照らし、それは現代でも生き続けていて…。
カバー画像:『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』より ©Evgenia Eliseeva

松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。

(続き)「奇妙な果実」が最も強いプロテストソングになるまで

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ナイトクラブに通い“歌うこと”と出会ったエレオノーラ・フェイガン。その後「ビリー・ホリデイ」と名乗りシンガーとしての活動をはじめます。ちなみにこの名前は、ギタリストだった父クレランス・ホリデイから取ったそうです。

圧倒的な歌唱力で一気にスターダムに駆け上ったビリー・ホリデイ。
彼女の歌手人生は輝かしいものでありながら、辛く、苦しい出来事も多くありました。

当時はジム・クロウ法(黒人の一般公共施設の利用を禁止、制限した法律)が厳しく、クラブやレストランで黒人だからという理由でトイレの使用を断られるなど、差別的な扱いを受けることがありました。

しかし、ビリー・ホリデイは自分の意思を貫き通し、真っ向から立ち向かいます。この体験は、ミュージカル『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』でも描かれていて、辛い体験をユーモアに交えてお話しする様子に、心の強さを感じながらも胸が痛みました。

また「奇妙な果実」を歌うことを禁じられ、彼女のステージはFBIらの監視下にあることも。。しかし、ビリー・ホリデイはそれに逆らうようにステージで曲を披露することを止めない。当時はきっとかなり危険な行為であったのではと思います。

人種差別以外にも、一時期彼女のマネージャーを務めていたジョン・レヴィから暴力を受けたり、ギャラを吸い上げられたりと、トラブルが絶えないビリー・ホリデイ。。

麻薬や薬物問題により心も体もボロボロに…。晩年に録音されたレコードでは、美しい声も少ししゃがれた声になっていて…。

しかし、どんなことがあっても、彼女は屈するという選択をしません。

いかなる恐怖と直面しながらも、一人の女性 エレオノーラ・フェイガンは、ビリー・ホリデイであり続ける。ステージで歌い、世間に語ることで、レディ・デイであり続ける。

この姿勢こそ、ビリー・ホリデイの究極の美学である、と私は思います。

『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』

ⒸEvgenia Eliseeva

彼女が彼女のままでいられたのは、歌うことを止めないというスピリットがあったからこそ。そして、壮絶な人生を経験した彼女だからこそ歌える歌がある。

もはやどちらが先なのかわからない気もしますが「自らの使命を全うする」そんな姿勢が彼女を強くさせたのではないでしょうか。

それだけ人に伝えるべき真実があり、世間が時代がひた隠しにしようともビリー・ホリデイは決して目を瞑らない。ビリー・ホリデイのまっすぐな生き方は、世間の多くの人の心を動かし、現代にも彼女の歌が歌い継がれていることは本当に賞賛に値します。。

彼女の美学、強さについてはもう少しお話ししたいと思います。

本作は、いよいよ3月10日(金)公開です。ぜひ劇場へお越しください!!

ではまたこちらのブログでお会いしましょう。

『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』
2023年3月10日(金)より全国順次限定公開!

『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』

youtu.be

── 愛に飢えても差別に負けない時代のカリスマ、ビリー・ホリデイを知らずして、人に伝わる“歌”は語れない。

史上初! トニー賞®全女優賞部門を6度受賞、アメリカの舞台エンターテイメント界において最多受賞を誇る、ブロードウェイ界の大スターで看板女優、オードラ・マクドナルドの代表作、そしてトニー賞®受賞作品!

ストーリー
時は1959年、舞台はフィラデルフィアのとある寂れたジャズクラブ。これから観客の面前で繰り広げられるのは、死を4ヶ月後に控えたビリー・ホリデイによる最後のパフォーマンスである。本作は、10曲を超える楽曲の数々に、辛辣で時にユーモラスな回想を交えながら、歌姫の姿とその音楽的世界観を魅力的に描き出していく。ニューオーリンズのカフェ・ブラジルで有観客上演された舞台を収録した「レディ・デイ・アット・エマーソンズ・バー&グリル」。6度のトニー賞に輝くオードラ・マクドナルドがジャズ界の伝説的な歌姫に扮し、歴史に残るパワフルなパフォーマンスを披露する。

トニー賞® 演劇主演女優賞(2014年)オードラ・マクドナルド
トニー賞® 演劇音響デザイン賞(2014年)スティーヴ・キャニオン・ケネディ

上映劇場はこちら!

配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
〈米国/2016/ビスタサイズ/90分/5.1ch〉日本語字幕スーパー版

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