皆さま、いかがお過ごしでしょうか。松 竹子と申します。
「松竹ブロードウェイシネマ」のプロデューサーとして、日々、皆さんから沢山のことを教えていただいています。感謝の気持ちを込めて、海外のエンターテイメント界から、気になる事柄や人物にフォーカスする「松 竹子のブログ日記」がスタートすることになりました。
よろしくお願いします!
第一回目は、『キンキーブーツ』についてお話します!
多くの皆様から、本作のご反響をいただき、心から御礼申し上げます。

『キンキーブーツ』との出会い

2018年秋頃、米国・ニューヨークから、一通のメールが届きました。
「『キンキーブーツ』を見に来ませんか?」
それは、ブロードウェイでお世話になっているお仕事先からのお便りでした。
初めて『キンキーブーツ』を観たのは、2013年のブロードウェイ。
今回は、英国・ロンドンのウエストエンドで、同じブロードウェイ・プロダクションの上演に関するお知らせでした。
2013年当時も、トニー賞を総なめにした本作は大人気で、
「何故、イギリスのお話なのに、アメリカでしか上演しないのですか?」
こんな疑問がオーディエンスの中に飛び交っていたのを覚えています。
そんな『キンキーブーツ』が、本場のイギリスで上演されるー。
これは凄いことになると思い、旅路へ向かいました。

『キンキーブーツ』(松竹ブロードウェイシネマ)
©Matt Crockett

今まで経験した事のない、交流型の観劇『キンキーブーツ』

ロンドンでの観劇当日。アデルフィ・シアターの前は、下にあるお写真のとおり、沢山のお客様で、ちょっとしたお祭り騒ぎになっていました。それはもう、街中の人達が劇場へ集合しているようにも見えます。人波をかき分けるように劇場に入ると、そこはもう国際都市です。
欧米やアジアなど、様々な国の人達がそれぞれの言葉で楽しそうに話しています。
「あぁ、『キンキーブーツ』はこんなにも万国共通なんだ」とテンションが一気に上がりました。
そんな時、近くの座席が何やら盛り上がっています。

Aさん:「君たち、どこから来たの?もしやそのアクセントは、ニューヨークからだね!」
Bさん:「そうです!ここに住んでいるのですか?我慢できなくて、
ロンドンまで『キンキーブーツ』を観に来ました!」

何とまぁ、『キンキーブーツ』を合言葉に、お友達の輪が広がっているではないですか!
約25年以上ブロードウェイの舞台観劇を続けていますが、お一人様も多いいブロードウェイでは、
この様な光景をあまり見たことがありません。
これぞ正しく、『キンキーブーツ』マジックであり、作品をとおしての一体感と交流が、
このミュージカルの最大の楽しみであり強みであると、実感しました。

「個性」と言う翼を持つ『キンキーブーツ』

そしてミュージカルが始まりました。作品の素晴らしさは、皆さんの方が良くご存知だと思います。本作は、ローラとチャーリー、そして周りの人々との友情の物語であり、偽りの仮面を脱いで、ありのままの自分でいる事の大切さを描いています。
舞台の迫力は、映画と同じで、言うまでもなくスリリングな展開。ローラとドラァグクイーンたちの鍛え上げられた踊りに、チャーリーや工場で働く人々の歌声に酔いしれる2時間です。
舞台を観て改めて感じたことは、この作品には「翼(ツバサ)」があると言うこと。皆、それぞれ十人十色の人生の物語を持っていますよね。似通っていても、1人として同じストーリーを持っている人はいません。その個性には翼があって、それぞれの道へ自分を運んでくれる。
そんな翼を持つ『キンキーブーツ』、これはもう、是非とも日本のお客様へご覧いただきたいと強く願いました。それが、この松竹ブロードウェイシネマ『キンキーブーツ』への第一歩でした。

オフ・ブロードウェイ劇場でも有名なニューヨークの「STAGE42」での再演記念として、上演同日の7月26日から、『キンキーブーツ』を日本全国アンコール上映いたします。これからの方も、リピートの方も、このミュージカルで「個性の翼」に出会っていただきたいと心から願っています!