こんにちは! 松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員のYuriです。ブロードウェイミュージカル初心者の私が、ミュージカルや演劇の素晴らしさについて気ままに発信! 『ザ・ウィローズ The Wind in the Willows』で描かれているイギリスの階級社会についてお話。後編では、実際にどんなところで感じたのか注目していきます。
カバー画像:『ザ・ウィローズ The Wind in the Willows』より ⒸMarc Brenner

松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。

味わい深いセリフが胸に刺さる!

『ザ・ウィローズ The Wind in the Willows』で描かれているイギリスの階級社会についてのお話。前編では、イギリスの階級制度についてお話ししました。

後編では、実際にどんなところで感じたのか本作でのシーンや台詞などに注目したいと思います!

住む場所・お金・時間の過ごし方

『ザ・ウィローズ The Wind in the Willows』

ⒸMarc Brenner

物語に登場する生き物たちは、それぞれ住む場所も違えば生き方も違います。土の中で生きるモグラのは水に濡れるのが嫌だったり、川に住むネズミやカワウソは「森に足を踏み入れてはいけない」と未開の地を警告する姿があったり、自分たちの住むエリアを守ろうとする様子が印象的です。

また、ヒキガエルのミスター・トードは、メイド付きのお屋敷に住むお金持ち。とにかく最新で速い乗り物に目が無く、何度も乗り換えてはトラブルを起こしてしまいます。それが実は寂しがり屋な裏返しでもあったり…。

初めは単純に生き物たちの習性だとも思ったのですが、考えていくうちに「人間世界でもこんなことあるかも?」なんて思ったりしてしまいます。そこが本作の味わい深いところです!

食べ物の違い

カワウソのポーシャが、モグラのモールに向かって食べ物のことを話すシーンがあり、そこで母カワウソのミセスオッターが注意をします。生き物、種族によって食べ物のカルチャーが異なることを表しているようで、このシーンは個人的に印象的でもありました。

話し方や見た目など

アナグマのバジャーがミスター・トードの話し方について真似するシーンがありました。キャラクターの個性を活かしたユーモアではありますが(バジャーさんは決して悪い人ではないです!)、なんだか人間社会を見ているような気もしました。

また、本作の悪役 イタチの親分チーフ・ウィーズルとギャングたちは悪者に見えてしまいがちな本音を歌とダンスで表現したりして…。

これらのシーンなどから、話し方や見た目で差別をすることへのメッセージ性を感じました。

明るくて楽しいファンタジーな世界を描きながら、実は人間社会でも起こり得る差別や偏見などが浮き彫りになっていることがわかります。『ザ・ウィローズ The Wind in the Willows』は他者との関わりを見つめ直すための、生き物すべての縮図でもある、とも思います。

映画やドラマを見ていると、自分の視点が主人公目線だったのがいつの間にか悪者目線になったり、「あの台詞は本当はこんな意味だったのかも!?」なんて気づくことってありますよね。その瞬間、作品が描く世界にグッと一歩近づけたような気がして私は大好きです!

『ザ・ウィローズ The Wind in the Willows』はそんな体験が何度もできる素晴らしい作品です。ぜひこの夏劇場でご覧ください!

ではまた次回お会いしましょう〜!

ザ・ウィローズ The Wind in the Willows
2022年7月8日(金)より全国限定公開

『ザ・ウィローズ』予告編

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配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
〈英国/2017/ビスタサイズ/131分/5.1ch〉 日本語字幕スーパー版

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