こんにちは、アニキです!
今回のアニキ・ブログは、先日亡くなった千葉真一さんを追悼して、千葉真一さんの魅力やエピソードについて書かせて頂きます。

Ⓒ松竹

ブルース・リーに次ぐ格闘技映画の大スター

先週、千葉真一さんがお亡くなりになりました。

千葉真一さんは日本を代表する映画スターであり、海外では‟サニー千葉”の名で知られていた国際的なアクションスターでした。

千葉さんと言えば、服部半蔵役や柳生十兵衛役を思い浮かべる方も多いと思いますが、『激突!殺人拳』など空手をメインにしたアクション映画が世界的に大ヒットし、ブルース・リーに次ぐ格闘技映画の大スターだったのは意外と知られていないと思います。

「肉体は俳優の言葉なり」

子供の頃、「キイハンター」というTVドラマを見て、千葉さんのアクションに釘付けになったのを覚えています。

猛スピードで走行する列車やバスの屋根で敵と格闘したり、ロープウェイにぶら下がってよじ登ったり、自動車から並走する軽飛行機に飛び移ったりと、手に汗握るアクションをハラハラドキドキしながら見ていました。

度肝を抜くスタントの数々にも驚きましたが、スタントマンではなく千葉さん本人が演じていることに何より驚きました。

「こんな凄い事ができる俳優がいるなんて!」と思ったのが千葉さんを初めてみた時の印象です。

数々の危ないスタントを自ら演じていたので骨折などのケガも絶えず、日本刀で腕を切られたこともあったそうです。

何故そこまでして‟命がけのアクション”を演じるのだろうと疑問に思った事がありました。

その答えは、ある雑誌のインタビュー記事を読んで分かりました。
そのインタビューで千葉さんは、深作欣二監督に言われたある言葉を語っていました。

「演技は肉体でするもの。肉体は俳優の言葉なり」と。

その深作欣二監督の言葉を生涯大事にして、役者人生を全うしたのが千葉さんだったと思います。

千葉さんの遺志を継ぐ俳優たち

ハリウッド俳優や監督の中にも、千葉さんの熱烈なファンが数多くいます。

『パルプ・フィクション』『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノ監督、『マトリックス』のキアヌ・リーブズ、『アベンジャーズ』のサミュエル・L・ジャクソン、『プロジェクトA』のジャッキー・チェンなどなど・・・。

キアヌ・リーブスは『マトリックス』での格闘シーンや、『47RONIN』の殺陣シーンで千葉さんを彷彿とさせる見事なアクションを披露し、日本人顔負けの‟武士道”を体現しています。

またサミュエル・L・ジャクソンは「アベンジャーズ」で演じた役作りを、千葉さんの演じたサムライを参考にしたと語っていて、外見も柳生十兵衛そっくりの眼帯を付けて演じています。

キアヌやサミュエルなどハリウッドの大スターも、千葉さんの影響を受け、その遺志を受け継いた俳優と言えますが、日本でも「肉体は俳優の言葉なり」を受け継ぐ俳優がいます。

それは千葉さんの愛弟子だった真田広之や愛息の新田真剣佑と眞栄田郷敦。

真田広之さんは今や押しも押されぬハリウッドスターとして確固たる地位を築いていて、「肉体は俳優の言葉なり」を受け継ぎ、サムライなどの役を見事に演じ切っています。

Ⓒ松竹

千葉真一さんとの思い出

千葉さんとの思い出があります。

私がハリウッド映画『ビッグゲーム』(サミュエル・L・ジャクソン主演)の宣伝を担当していた時に、千葉さんとお仕事をする機会に恵まれました。

主演のサミュエル・L・ジャクソンが千葉真一さんの大ファンで親友であることを知り、完成披露試写会イベントのゲストとして千葉さんにご出演頂きました。

イベント当日、千葉さんの控室にイベントの進行説明にお伺いすると、サッとお立ちになり「宜しくお願いします」と礼儀正しく一礼されたのにはビックリしました。

大スターなのに偉ぶる姿はどこにもなく、背筋をビシッと伸ばした立ち姿は、映画の中で千葉さんが演じた‟サムライ”そのものでした。

そして柔和な笑顔で我々を温かく迎えて頂き、人間としての器の大きさや大スターの貫禄をまざまざと目にした感じがしました。

またイベント時の写真撮影についても、マスコミ以外の一般の方々については写真撮影はお断わりするかどうかお尋ねすると、千葉さんは「私は一般の方々にも写真を撮って頂いて大丈夫です。せっかくお忙しい中イベントにお越し頂いたのですから、写真を撮りたい方はドンドン撮って頂いて構いません」と言われたのを思い出します。

千葉さんは常にファンの方を気遣い、ファンの方が少しでも楽しんで満足して帰って頂ければというサービス精神に満ち溢れていました。

Ⓒ松竹

日本映画はもっと世界を目指さないといけない

イベント終了後、千葉さんの控室にお礼にお伺いすると、千葉さんは現在企画中の映画について話してくださいました。

どの企画もスケールが大きく、日本だけでなく世界で公開する事を目指しているようでした。
「日本映画はもっと世界を目指さないといけないと思うんです」と熱く語っていたのが印象に残っています。

そして、千葉さんは遠くを見つめながら「いつか宮本武蔵を演じてみたいんです。僕が宮本武蔵をやったら、今までにない本物の宮本武蔵になると思うんですけどね」と。
その眼差しは真剣そのものでした。

別れ際には「僕は読売ジャイアンツの大ファンなんです。でもいまジャイアンツの調子が悪いから一生懸命に応援しないとね」と茶目っ気たっぷりに笑った顔が忘れられません。

この場をお借りして、心からご冥福をお祈りします。