『シラノ・ド・ベルジュラック』の魅力についてご紹介します

『シラノ・ド・ベルジュラック』と日本の長い仲

『シラノ・ド・ベルジュラック』                            

©Carol Rosegg

ストレート・プレイ・・
ミュージカルとは、また一味ちがう魅力がありますね。

松竹ブロードウェイシネマで上映されたステージで、名優ケヴィン・クラインが主人公のシラノを演じて絶賛を博した「シラノ・ド・ベルジュラック」。
日本でも、長いあいだ芝居好きの胸を熱くしてきました。
シラノ・・なんて純真で優しい男でしょう。

日本で最初にシラノを演じたのは、歌舞伎俳優の2代目市川左團次(1880〜1940)です。
昭和6年(1931)2月のことでした。
台本はフランス文学の大家、辰野隆の翻訳。
左團次はすでに明治末年にはヨーロッパへ演劇視察旅行を敢行、帰国後にはシェイクスピアなど数々の翻訳劇を上演したのでした。
また1928年には歌舞伎初の海外公演を当時のソヴェトで行うなど、演劇界の最先端を生きた人でした。

話は変わりますが、歌舞伎の人気演目に江戸で一番のハンサム・ボーイ、俠客の花川戸助六が活躍する「助六」があります。
シラノを翻訳した辰野隆は歌舞伎俳優とも親交があり歌舞伎好きでもありましたが、「鼻のシラノは醜男だが、心意気は天下の快男児」と語り、「フランスに、シラノ・ド・ベルジュラックあり、日本に、花川戸助六ありだ。」と語ったそうです。お分かりになります?
ハナカワ・ド・スケロク!という洒落です。