こんにちは!松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員のYuriです。ブロードウェイミュージカル初心者の私が、ミュージカルや演劇の素晴らしさについて気ままに発信!今回は、 ジャニス・ジョプリンが特に影響を受けたブルースシンガー ベッシー・スミスについてお話ししたいと思います。
カバー画像『ジャニス・ジョプリン』より ※日本初公開写真 ©Jason Niedle

松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。

強い女性とはどんな人?

そろそろ本格的に梅雨入りしそうですね。在宅ワーク×雨の掛け算により、身体のたるみに拍車がかかっているため、取り急ぎ(?)YouTubeのトレーニング動画を真似して筋トレをする今日このごろです。

「今年の夏までには、水着が似合う身体に!」といったよく聞くダイエット目標も、新型コロナの影響で今年も現実味がなさそうなため(言い訳かな?笑)、まずはスキニーデニムをカッコよく着こなせるような女性になりたいと思います!よし!

アラサー女子の独り言はさておき。。

皆さんは“強くてたくましい女性”と聞くと、どんな方をイメージしますか?

歴史上の人物だと、フランスを救った17歳の英雄ジャンヌ・ダルク、最も成功した女性起業家ココ・シャネル、鉄の女と言われたイギリス初の首相マーガレット・サッチャーなど。

現代では、マドンナ、ビヨンセ、レディー・ガガなどのアーティストや大坂なおみさんや池江璃花子さんなど若いアスリートたちも大活躍していますよね。メディアやSNSなどで彼女たちの勇姿を見ると同じ女性として誇らしく、また憧れの気持ちも抱きます。

これまでたくさんの女性リーダーたちがそれぞれの時代を切り拓いてきましたが、今回は1920年〜30年に活躍した歌手ベッシー・スミス(1894-1937)について注目したいと思います!

1920年代のアメリカと言えば、“狂騒の20年代”と呼ばれ、経済が大きく成長し、インフラが整うなど生活様式に大きな変化が生じていた時代。アメリカのバブル期のような時代で、映画だと『華麗なるギャッツビー』(2013)がこの時代のことを描いていますね。

黒人への差別も激しく、1929年頃からは世界恐慌も起こり、言葉の通りまさに狂騒の時代でした。(それこそ彼女の死も黒人差別による悲しい結末も…。)

そんな時代にベッシー・スミスは、黒人歌手として最も成功を収め“ブルースの女帝”という称号で歴史に名を刻んだ、まさに伝説のシンガーなのです!

2015年に彼女をモデルにした伝記映画『BESSIE/ブルースの女王』が公開され、『シカゴ』(2002)や『ヘアスプレー』(2007)などに出演するラッパー兼女優のクイーン・ラティファがベッシー・スミスを熱演し、話題となりましたね。音楽映画好きの方は特に観たことがあるのではないでしょうか。

彼女の音楽は、ジャンルを越えてさまざまなアーティストたちに多大なる影響を与え、その一人にはロックシンガージャニス・ジョプリン の存在も挙げられます。

ジャニス・ジョプリンとベッシー・スミスにまつわるストーリーには驚きです。こちらは後ほどお話ししたいと思います。

では、一体彼女がどんな人物だったのか、注目していきましょう!

狂騒の時代に生きる人々をブルースで温めた勇敢な女性

ベッシー・スミスは、1894年テネシー州チャタヌーガ出身。幼いころに両親を亡くし、兄弟と力を合わせながら幼少期を過ごしました。若干9歳で歌を始め、当時は兄のギターの伴奏で歌を披露。生活のために自らの歌で稼ぎを得ていました。

そんな彼女に15歳の頃人生の転機が訪れます。“ブルースの母”と呼ばれた黒人歌手マ・レイニー(1886-1939)と出会い、ラビット・フット・ミンストレルという演芸一座に参加するようになります。

この一座でキャリアを積み、その後1923年にコロンビア・レコードにスカウトされ、契約歌手になります。その後リリースした「Down Hearted Blues」が大ヒットし、スターへの道を駆け上ります。

『ジャニス・ジョプリン』より ※日本初公開写真

©Jason Niedle

ベッシー・スミスは、1933年までの間になんと150曲以上もの楽曲をリリースします。レコードの驚異的な売り上げに加え、当時はラジオ文化が盛んなこともあり、南部から北部まで幅広く彼女の人気は知れ渡ります。

オーケストラを携え各地の劇場で公演し、彼女の人気は絶頂に。次第に“ブルースの女帝”と呼ばれるようになります。

かつてない好景気に活躍を広げていった彼女ではありましたが、1930年頃から世界恐慌による不況が訪れ、コロンビアを去ることに。引退と思われた歌手人生でしたが、1933年にレコードプロデューサーのジョン・ハモンドの手によりレコードの再販と、ツアーも巡業。伝統的な南部音楽を歌い続け、時代は変わってもベッシー・スミスの人気は確かなものでした。

しかしその後、彼女に不運が訪れます。1937年、レコーディングへ向かい車で移動中に事故に遭い、ベッシー・スミスは大怪我を負います。近くの病院に搬送されたものの、そこは白人専用病院だったため受け入れを拒否されてしまいます。。

ようやく黒人専用病院に搬送されるも手遅れとなり、彼女は息絶えます。43歳のことでした。

悲しい最期に驚いた方もいらっしゃると思いますが…ここからは彼女の魅力についてお話ししたいと思います。

ベッシー・スミスの魅力は、なんと言っても圧倒的な声量と歌唱力!!身長182cm、体重90kgというビッグスケールな体型が織りなす力強い歌声は “建造物を揺るがす”と言われ、マイクがなくても聴衆の隅々まで声が行き渡るほどだったそう!

声量はもちろんですが、ブルージーで繊細な表現も持ち合わせており、ブルースの根底にある悲しみや喜びといった感情を、抑揚のある甘美な声で伝えていました。

代表曲「Nobody Knows You When You're Down And Out」や「St.Louis Blues」には、1920年代ならではとも言えるような悲哀な気持ちが表れており、当時の人々は世の中への本音を代弁してくれるベッシー・スミスに強く共感していたのでは、と思います。

狂騒の時代をブルースで牽引し人気を集めていたベッシー・スミスですが、彼女はシンガーを越え、アイコン的存在でもありました。

自分の気持ちに素直で常にありのままな彼女は、誰にも媚びることなくオープンな人柄。彼女の歌手人生には危険も付きまとっており、いくつか危うい事件も起こりましたが、負けん気の強さで跳ね除けていました。

通り魔や暴力の他、白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)からの差別的な嫌がらせにも屈せず立ち向かう勇敢な姿など、彼女にまつわる伝説は今もなお語り継がれています。

本来ならば心が折れてしまうような出来事も、強靭な精神力によりびくともしません。そんな彼女を人々は憧れの歌手ではなく、強さの象徴として認識していたに違いありません。

その強さは、映画『BESSIE/ブルースの女王』(2015)でもよく描かれていますので、気になる方はご覧になってみてください。

彼女の楽曲は、ジャズのスタンダード・ナンバーとして、その後もさまざまアーティストがカバーし、リスペクトされ続けています。

ビリー・ホリデイやダイナ・ワシントン、ノラ・ジョーンズ、そしてジャニス・ジョプリンも。

©Jason Niedle

ジャニス・ジョプリンは、強い精神力が感じられるベッシー・スミスの歌声に、特に影響を受けたそう。誰にも奪わせない、邪魔させない、そんなスピリットを反映させるようなベッシー・スミスのブルースを自分の音楽に変えていき、その精神は社会不安や暴動などが起こった1960年に希望を与えていたようにも思えます。

絶大なる人気を集めたベッシー・スミスですが、実は彼女のお墓にはベッシー・スミスの名前がありませんでした。

そこで、彼女のことを崇拝していたジャニス・ジョプリンは、死後33年後の1970年に彼女を偲び、名前を刻んだお墓を建て直しました。そして悲しいことにその2ヶ月後、ジャニス・ジョプリンは例のヘロインの過剰摂取により亡くなってしまう…。

ベッシー・スミスはこのときすでに亡くなっていますが、ジャニス・ジョプリンは彼女のことを追いかけるかのようにも感じられるようなストーリーですね。。

2021年7月2日(金)より全国順次公開の『ジャニス・ジョプリン』では、先ほどご紹介したベッシー・スミスの楽曲「ノーバディ・ノウズ・ユー・ウェン・ユアー・ダウン・アンド・アウト」が披露されています。

狂騒の時代に人々を照らしたブルースの女帝による不屈の音楽が蘇ります!彼女の音楽は、時代を越え、現代を生きる私たちにもパワーを与えてくれるに違いありません。

この感動をぜひ劇場で体験してみてください!

ジャニス・ジョプリン
2021年7月2日(金)より全国順次公開!

『ジャニス・ジョプリン』

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ストーリー
元祖・音楽フェスティバルの女王にして伝説のロック・スター、ジャニス・ジョプリン。数々の名曲をジャニスが熱唱し、彼女が音楽的にも影響を受けたアレサ・フランクリン、エタ・ジェイムス、オデッタ、ニーナ・シモン、ベッシー・スミスと共に感動のステージを披露する。「孤独」と生涯戦ったジャニス・ジョプリン。そんな中、ジャニスが自らの物語を語り始める。

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ではまた次回お会いしましょう!

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