こんにちは!松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員のYuriです。ブロードウェイミュージカル初心者の私が、ミュージカルや演劇の素晴らしさについて気ままに発信!今回は、ジャニス・ジョプリンやボブ・ディランが影響を受けたフォークシンガー オデッタについてお話ししたいと思います。
カバー画像『ジャニス・ジョプリン』より ※日本初公開写真 ©Jason Niedle

松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。

『ジャニス・ジョプリン』についてビッグニュース!

今週は毎日夏のような暑さですね…。
夏といえば!『ジャニス・ジョプリン』の公開までついに残るところあと1ヶ月を切りましたね!

ジャニスファン、ロックファン、そして音楽やミュージカルファンの方などなど、、公開が待ち遠しい!という方も多いのではと思います(>_<)

そんな最中!
なんとジャニス・ジョプリンの公式ホームページに、日本公開版『ジャニス・ジョプリン』の予告編が掲載されました!!(すごい!)

これまで公式ホームページに予告動画が掲載されることはなかったため、今回日本版が掲載されたことはまさにビッグニュース!ちなみにアジア圏でも初めてのことだそうです。

日本のみならず本場でも作品公開について広く知れ渡ることは、とても素晴らしく嬉しいですね。
『ジャニス・ジョプリン』の公開がさらに盛り上がってほしいと私は強く願います…!!

ドキドキが止まらないところですが…今回のブログテーマに参りましょう!

皆さんは“フォークソング”と聞いてどんな曲や歌手をイメージしますか?

日本だと主にアコースティックギターを片手に歌う姿が思い浮かび、ジーンと心に響くようなメッセージ性のある音楽が特徴的ですよね。

1960年代〜80年代に流行したジャンルでもあり、吉田拓郎さんや井上陽水さんなどがブームを牽引し、イルカさんの『なごり雪』やさだまさしさんの『関白宣言』、海援隊の『贈る言葉』など、現代でも人気を集め、耳に残る曲が多いですよね。

一方、洋楽で真っ先にイメージされるのがフォーク&ロック界のレジェンド ボブ・ディラン!ロックの殿堂入りを果たしており、また、2016年には歌手として初めてノーベル文学賞を受賞したまさに音楽界の巨匠と呼べる存在です。

今回は、そんなボブ・ディランも影響が受けたフォークシンガー オデッタ(1930-2008)についてご紹介したいと思います。

今回公開する『ジャニス・ジョプリン』にも登場しているので、ぜひ注目です!

社会への主張を音楽で訴え、生涯使命を全うしたフォーク界のレジェンド

まずはじめにフォークソングについておさらいをしたいと思います。

フォークソングとは?

フォークソングには、2つの意味があります。一つは、世界各地の民衆の間で歌われた民謡のこと。もう一つは、1940年頃にフォークの伝説であるウディ・ガスリー(1912-1967)が、アメリカ各地を放浪しながら作った歌からはじまり、1950〜60年代頃のアメリカで盛んになった民俗音楽やポピュラー音楽のことを指します。

民衆の情感や社会風刺などを歌い、アコースティックギターが伴奏として使用することが多いのが特徴。伝統的な曲を都会的に歌い上げるスタイルも人気を集めていました。

▶︎ちなみに、ジャズやロックのルーツとして知られるブルースは、1800年代後半に生まれた音楽。詳しくはこちら をチェックしてみてください。

今回ご紹介するオデッタは、フォークシンガー兼作詞作曲家でありながら人権運動家でもあり、ミュージシャンはもちろん、人々や社会に影響を与えた存在でもありました。

彼女は一体どんな人物だったのか、注目していきましょう!

オデッタの活躍

オデッタ(オデッタ・ホームズ)は、1930年アメリカ合衆国南部のアラバマ州 バーミングハム生まれ。カリフォルニア州ロサンゼルスで幼少期を過ごしました。

13歳からオペラに携わり、若干14歳にしてハリウッドでミュージカルのアンサンブルメンバーとして働き、舞台女優のキャリアを積んでいきます。

19歳にミュージカル『フィニアンの虹』の全米公演に参加したことをきっかけに、その後は1950年頃から彼女はフォークソングを歌うようになります。

ニューヨークやサンフランシスコなどアメリカのナイトクラブでステージを披露し、次第にオデッタの名は有名に。さらにラリー・モーアと「オデッタ&ラリー」というフォークデュオを結成し、1954年にファンタジー・レコードからレコードをリリースし、デビュー。

その後もソロやデュエットなど歌手としてのキャリアを積んでいき、さらにテレビ番組への出演によりオデッタの活躍の場は全米へと広がっていきます。

ギターを弾きながら力強く歌うオデッタの姿は魂を揺ぶられるようなパワーがあり、1961年には、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは彼女のことを“アメリカン・フォークミュージックの女王”と絶賛します。

『ジャニス・ジョプリン』より ※日本初公開写真

©Jason Niedle

そして1963年、アメリカ合衆国のワシントンD.C.で行われた人種差別撤廃のデモ行進(ワシントン大行進)にて「O Freedom(おお 自由よ)」を熱唱。

その後も音楽活動を積極的に続け、1998年にはグラミー賞にノミネートし、1999年には、ビル・クリントン大統領より文化功労賞といえる“National Medal of Art”を授与。さらに2005年、アメリカ議会図書館より“Living Legend Award”(生きた伝説賞)が授与されました。

2008年、77歳にて北米ツアーを開始。車椅子で歌い、フェスへの出演を果たしたものの体調を崩してしまい、同年12月に息を引き取ります。

生涯現役を貫いたフォークシンガー、オデッタ。オデッタの音楽はフォーク・ソング・ブルースと呼ばれており、その歌声は力強くもとても優しく、なんとも表現しがたいほどの気迫とスピリット、バイタリティーに溢れています。

彼女の曲には社会への不満や自由を主張するフリーダム・ソングが多く、当時の人々の訴えや社会そのものが反映されているとも思えます。

その歌声がメッセージ(伝えたいこと)を助長させるのか、それともメッセージがあるからこそ歌声に引き込まれるのか。大観衆の前で熱唱するオデッタの姿に、どれだけの人が心動かされたことでしょう。

それこそ、約20万人もの人が集結したワシントン大行進は、1960年代を象徴する歴史的な出来事でした。

オデッタが歌うことは民衆が歌うことに繋がる。それは社会への主張になり、同時に自由や平和を訴えるには権力や暴力ではなく音楽こそ偉大な力があることを証明しているとも思えます。

オデッタは20枚超のアルバムをリリースしたのですが、どの曲も聴いているとなぜだろうか現代を生きる私も「何か行動しないと」と思い起こさせるような不思議な力を感じます。世代を超える強さがあります。ぜひ聴いてみてください。

また、音楽界の重鎮であるボブ・ディランの楽曲は、なんとも耳に残り心に刻まれるような印象が強いのは、そのルーツにオデッタという存在があるからだと納得しました。

そんなボブ・ディランは、2012年5月29日にオバマ大統領より市民への叙勲としてアメリカ最高位である大統領自由勲章が授与されたことも記憶に新しいですよね。

実は、オデッタが亡くなる1ヶ月後の2009年1月にオバマ大統領の就任式でオデッタが歌うことが決まっており、そのこと彼女は楽しみにしていました。

ボブ・ディランが大統領自由勲章を授与する姿は、その場にオバマ大統領、ボブ・ディラン、そしてオデッタが一同に介したような瞬間でもある、と私は思いました。

これまでブログ でジャニス・ジョプリンが影響を受けたシンガーに注目してきましたが、ジャニス・ジョプリンが唯一無二の音楽を完成させた背景には、数々の偉人たちの存在があったからということを確と再認識しました。

オデッタの社会への訴えは、ジャニスのブルースとなり、社会を照らした。消えることのないジャニスの光(音楽)には、たくさんの人々の嘆きや叫びが集結している。だから強い。と私は思います。

ちなみにオデッタもジャニスも「ダウン・オン・ミー」という1920年代以前の伝統的な自由の歌をぞれぞれ歌い上げています。

オデッタは1959年に轟くようなフォーク・ソング・ブルースとしてリリースし、ジャニスは1967年にアップテンポなロックンロールとしてビッグ・ブラザー・アンド・ホールディング・カンパニーと共にリリースしました。

もちろんそれぞれ違う曲に聞こえますが、向かっている方向やメッセージこそ同じ印象でどちらもとてもキャッチーです。心にガツンと響きます!

そんな「ダウン・オン・ミー」は、映画『ジャニス・ジョプリン』にて、オデッタバージョン/ジャニスバージョンどちらも披露されているのです!これはステージとして面白く、注目ですよ!

それぞれの社会を照らした彼女たちのスピリット。ぜひ劇場で見て聴いて体験してみてくださいね!

ジャニス・ジョプリン
2021年7月2日(金)より全国順次公開!

『ジャニス・ジョプリン』

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ストーリー
元祖・音楽フェスティバルの女王にして伝説のロック・スター、ジャニス・ジョプリン。数々の名曲をジャニスが熱唱し、彼女が音楽的にも影響を受けたアレサ・フランクリン、エタ・ジェイムス、オデッタ、ニーナ・シモン、ベッシー・スミスと共に感動のステージを披露する。「孤独」と生涯戦ったジャニス・ジョプリン。そんな中、ジャニスが自らの物語を語り始める。

上映劇場はこちら!

ではまた次回お会いしましょう!

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