こんにちは!松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員のYuriです。ブロードウェイミュージカル初心者の私が、ミュージカルや演劇の素晴らしさについて気ままに発信!今回は、ブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』の演出を務めたデヴィッド・ルヴォーについて注目します。
カバー画像:ブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』より ©Carol Rosegg

松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。

作品の世界を尊重し、現代に落とし込むこと

私は、ミュージカルや音楽にまつわる映画作品が大好きです。これまでに観た作品はこちら↓

「シカゴ」(2002)、「オペラ座の怪人」(2004)、「ヘアスプレー」(2007)、「バーレスク」(2010)、「17アゲイン」(2009)、「レ・ミゼラブル」(2012)、「イントゥ・ザ・ウッズ」(2014)、「ラ・ラ・ランド」(2016)、「グレイテスト・ショーマン」(2017)、「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)、「アリー/スター誕生」(2018)、「アラジン」(2019)、「ロケットマン」(2019)など

有名な作品が多いので「あぁ〜観た観た!」と思う方も多いのではないでしょうか?どの作品も本当に大好きで、いつも感動して泣いてしまいます。。

映画好きの母に連れられ、幼い頃からよく映画館で観賞しました。中でも「オペラ座の怪人」(2004)は衝撃的で、当時12歳だった私は(あっ…年齢がバレてしまう)、幼きながらも怪人と歌姫クリスティーヌが繰り広げる悲劇に釘付けになりました。

仮面を被った怪人の怪しさと、豪華な建築物にひたすら色気を感じ、艶のある世界が大人でとても素敵だなぁと感じたことを記憶しています。

最近では、今年の年末に公開予定の「ウエスト・サイド・ストーリー」がとにかく楽しみです!伝説的ミュージカル映画の「ウエスト・サイド物語」のリメイクというだけで胸アツなのですが、私の好きな映画「ベイビー・ドライバー」(2017)で注目された若手俳優のアンセル・エルゴートが主演を務めるということで、とてもワクワクしています。

映画やミュージカルでは、それぞれの作品化やリメイクが多くみられますね。視点を変えて作品を仕上げることで、新たな発見や魅力に気付けることはとても素敵だと思います。

作品の世界観を残しつつ、エッセンスを加える。原作にはもちろん多くのファンがいるため、ハードルが高いようにも思えますが、それ以上に作品を継承することに意義があると私は思います。

リメイクされた作品は、現代人だけでなくこの先の未来の人にとっても過去の名作を知るきっかけになる。後世にも物語が継承され続けると考えると、なんだかうっとりしませんか?

誰もが知るシェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」も、舞台はもちろん映画でも受け継がれており、世界中から愛されています。

現在松竹ブロードウェイシネマ・オンデマンドでは、ブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』が配信中です。

ブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』より

©Carol Rosegg

本作は、2013年に上演された作品。
シェイクスピア36年後の真実──。今回は、本作の演出を手掛けた演出家デヴィッド・ルヴォーについて注目します。

新しくなった「ロミオとジュリエット」は、彼の手によってどのように描かれたのか、考えていきたいと思います。

日本でも大活躍!多彩な才能を発揮するマルチクリエイター

デヴィッド・ルヴォー監督

ⒸShochiku Broadway Cinema

まず、デヴィッド・ルヴォーの経歴についてご紹介します。

デヴィッド・ルヴォーは、1957年 イギリス生まれの演出家です。彼の才能は若い頃から発揮されており、1982年に『日陰者に照る月』にてウエスト・エンド演劇賞を受賞。(なんと彼はこのとき25歳!)

その後1984年、同作品をブロードウェイでも演出し、トニー賞にノミネート。イギリス演劇界はもちろん、世界中から注目を集めました。

さらに『アンナ・クリスティ』でトニー賞5部門にノミネートされ、リバイバル作品賞を受賞。 その他も『ザ・リアル・シング』、『NINE』、『屋根の上のヴァイオリン弾き』など多数手掛けており、いずれもトニー賞をノミネート。素晴らしい経歴を持つ演出家です。

また、日本での活躍も多く、1988年に初来日した『危険な関係』をはじめ、宮沢りえ主演の『昔の日々』や、最近では草彅剛主演の『道』、中谷美紀・井上芳雄主演の『黒蜥蜴』などを演出し、日本でも彼の才能が強く放たれています。

そんな彼が手掛けたブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』の時代背景は現代。「ロミオとジュリエット」と聞いて誰もがイメージするであろう、豪華なドレスやお城は登場しません。

禁じられた愛をめぐる展開こそ同様ですが、すべては落とし込まれていないところも本作の魅力のひとつだと思います。

格差の恋は、現代の映画などでもさまざまなパターンで描かれていますが、お姫さまやお金持ちの世界など、どこか現実味に欠けるようにも思えます。もちろん作品として楽しめることに変わりはないですが、観て楽しむエンターテイメントとして受け取ってしまいがちです。

デヴィッド・ルヴォーが描いた「ロミオとジュリエット」は、現代に舞台が置き換えられていることで、ロミオとジュリエットの強い愛がよりリアルで身近に感じられました。

「シェイクスピアが伝えたかったことってこんなこと」

シェイクスピアの悲劇を咀嚼して再構築した本作は、禁じられているのに止められない、男女間の恋愛の真意を伝えたかったのでは、と思います。

現代版ではあるものの、衣装や舞台演出などはモダンな雰囲気で、特に炎を使った演出が印象的です。また、お互いの愛を語る例のバルコニーのシーンも原作と異なる演出をしています。

このシーンは、ロマンチックでありながら、お互いの気持ちが先走ってしまう“出会いたての恋愛のリアルさ”が見えて魅力的です。ぜひ本作をチェックしてみてくださいね♪

ではまた次回お会いしましょう!

前回のブログはこちら