カバー画像:『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』より ©Evgenia Eliseeva
松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。
ジミー・パワーズ役
シェルトン・ベクトンさんに注目!(続き)
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心ほどける優しい演奏
ジャズ界の歴史に名を刻む伝説の歌姫ビリー・ホリデイは、栄光の裏には多大なる問題を抱えていました。その一つにあるのが麻薬のトラブル。それが原因で服役をしたことも…。
恋人やビジネスパーソンともトラブルが続き、晩年は病に侵され満身創痍。その様子は、映画やメディアでも取り上げられています。
禁じられた曲との戦いもある中、生涯歌うことだけは絶対に譲らなかったビリー・ホリデイ。本編でのステージでは、その怒りや葛藤が抑えられない様子も垣間見えて…。。
そんな彼女を導くように支えるのが、シェルトン・ベクトンさん演じるジミー・パワーズです(画面左で演奏している方)。
彼は、ビリー・ホリデイの様子を気にかけながら彼女に優しく言葉をかけ、楽しく歌えるようエスコート。ビリー・ホリデイも嬉々として歌い出す姿がとても印象的です。彼女の歌声をより一層華やかに、唯一なものにさせてくれるのがこのジミー・パワーズのジャズピアノなのです。
パラパラと譜面をめくるように次々とナンバーを弾く軽快さ。さすが音楽指揮者としてご活躍されるだけあり、軽やかになんでも弾けてしまうシェルトン・ベクトンさんの演奏には、音楽を自由に奏でる、ジャズらしい即興演奏の醍醐味も感じられます。
ビリー・ホリデイのことをよく理解するジミー・パワーズだからこそできる演奏。その姿を演じ、パフォーマンスもすることはそう簡単なことではないと私は思います。まさに名脇役。ぜひ注目をしていただきたいです。
緊張感をほどいてくれるような、シェルトン・ベクトンさんの演技・演奏は、まるでセラピーのよう。大画面の劇場のスクリーンで浴びるジャズピアノは、テレビやオーディオにはない没入感があり、心地よい気分になること間違いなしです。
『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』は、来年3月より全国順次限定公開。
耳から聴く「音楽」でもない。目で見る「映画」でもない。からだで体感する「ライブ」でもない。言うならば、これらの良さがすべて詰まったような唯一無二のステージです。
ビリー・ホリデイがいまここ(目の前)に居て、ただひたすらに同じ時間を共有している、そんな不思議な力がこの作品にあります。ぜひ劇場へ足をお運びください!
ではまた次回お会いしましょう!
『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』
2023年3月10日(金)より全国順次限定公開!
── 愛に飢えても差別に負けない時代のカリスマ、ビリー・ホリデイを知らずして、人に伝わる“歌”は語れない。
史上初! トニー賞®全女優賞部門を6度受賞、アメリカの舞台エンターテイメント界において最多受賞を誇る、ブロードウェイ界の大スターで看板女優、オードラ・マクドナルドの代表作、そしてトニー賞®受賞作品!
ストーリー
時は1959年、舞台はフィラデルフィアのとある寂れたジャズクラブ。これから観客の面前で繰り広げられるのは、死を4ヶ月後に控えたビリー・ホリデイによる最後のパフォーマンスである。本作は、10曲を超える楽曲の数々に、辛辣で時にユーモラスな回想を交えながら、歌姫の姿とその音楽的世界観を魅力的に描き出していく。ニューオーリンズのカフェ・ブラジルで有観客上演された舞台を収録した「レディ・デイ・アット・エマーソンズ・バー&グリル」。6度のトニー賞に輝くオードラ・マクドナルドがジャズ界の伝説的な歌姫に扮し、歴史に残るパワフルなパフォーマンスを披露する。
トニー賞® 演劇主演女優賞(2014年)オードラ・マクドナルド
トニー賞® 演劇音響デザイン賞(2014年)スティーヴ・キャニオン・ケネディ
配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
〈米国/2016/ビスタサイズ/90分/5.1ch〉日本語字幕スーパー版