カバー画像:『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』より ©Evgenia Eliseeva
松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。
『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』見どころ・魅力
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ジャズ界の伝説の歌姫 ビリー・ホリデイ(1915-1959)を描いた本作。
注目すべきなところは、死を目前に控えたビリー・ホリデイによる最後パフォーマンスであること。身も心も満身創痍…なはずなのに、彼女の歌声・言葉こそパワーに満ち溢れいている。彼女が身をもって伝えたかったメッセージとは一体──。
時は1959年、舞台はフィラデルフィアのとある寂れたジャズクラブ。これから観客の面前で繰り広げられるのは、死を4ヶ月後に控えたビリー・ホリデイによる最後のパフォーマンスである。本作は、10曲を超える楽曲の数々に、辛辣で時にユーモラスな回想を交えながら、歌姫の姿とその音楽的世界観を魅力的に描き出していく。
本作の魅力はとにかく語り尽くせませんが、やはり『ビリー・ホリデイという伝説を、スクリーンを通して目の当たりにすることができる』ということではないでしょうか。
彼女のことを知らない方でも、ブロードウェイの大女優オードラ・マクドナルドさんのパフォーマンスをご覧いただければすぐに、いかにすばらしい伝説のシンガーであったことがわかると思います。
鑑賞後の感覚としては「すごいものを見てしまった」「なぜ今まで知らなかったのだろう」としばらく頭が真っ白に。この作品を見たら誰しも“彼女(ビリー・ホリデイ)”のことがとにかく気になって気になって仕方なくなるのではないでしょうか。
本作で感じる余韻は確実に今までの作品と異なります。あらゆる感情が混ざり合い、エンドロールを見ながら感じるどっしりとした余韻の深さは今まで体験したことのない感覚。
彼女(ビリー・ホリデイ)が私の人生に急に飛び込んできた!と衝撃を受けました。
彼女からのメッセージをどう感じたか。それは本当に十人十色でさまざまだと思います。
自分の答えが見つからなくても、答えを探すこと自体に意義があるような、そして何より作品を見たことに価値があると感じて止まない。それこそ本作の魅力です。
また、普段ジャズを聞かないという方こそぜひご覧いただきたいです。
・・・なぜなら・・・ジャズだから。
特有の軽快さ、自由さのある音楽。それがジャズ。
ジャズ音楽は、はじめて聴く曲でもなぜだか妙に耳馴染みが良く、体を動かしたくなる。
ジャズのことをあまり知らなくても、心と体で堪能できる。
ジャズに興味がなかったという方もきっと、新たな世界の扉を開くきっかけになるかもしれません。
劇中で披露されるビリー・ホリデイの楽曲は全15曲。
彼女の楽曲は、恋に恋する豊かさ・華やかさもあれば、代表曲「奇妙な果実」を筆頭に現実に直面しなければならない使命感を感じるような厳しさもあったり…さまざまな表情を見せてくれます。
楽曲然り、彼女の人間性然り、、
スクリーンを目の前にして感じるのは「ここまで自分の感情を彼女に支配されるのか!」という驚き。これはまさに松竹ブロードウェイシネマの醍醐味と言っても過言ではないでしょう。
ビリー・ホリデイは女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の1人に数えられるシンガーで、ジャズ界を牽引した存在と言っても過言ではありません。
目で見たもの、耳で聞いたものが消えてなくならないように、記憶の断片に残された感覚をすくい集めたくなるような、そんな素晴らしい作品です。
一生忘れられない体験になること間違いなしです。
ぜひぜひ劇場へ足をお運びください!!!!!
『ビリー・ホリデイ物語 Lady Day at Emerson's Bar & Grill』
2023年3月10日(金)より全国順次限定公開!
── 愛に飢えても差別に負けない時代のカリスマ、ビリー・ホリデイを知らずして、人に伝わる“歌”は語れない。
史上初! トニー賞®全女優賞部門を6度受賞、アメリカの舞台エンターテイメント界において最多受賞を誇る、ブロードウェイ界の大スターで看板女優、オードラ・マクドナルドの代表作、そしてトニー賞®受賞作品!
ストーリー
時は1959年、舞台はフィラデルフィアのとある寂れたジャズクラブ。これから観客の面前で繰り広げられるのは、死を4ヶ月後に控えたビリー・ホリデイによる最後のパフォーマンスである。本作は、10曲を超える楽曲の数々に、辛辣で時にユーモラスな回想を交えながら、歌姫の姿とその音楽的世界観を魅力的に描き出していく。ニューオーリンズのカフェ・ブラジルで有観客上演された舞台を収録した「レディ・デイ・アット・エマーソンズ・バー&グリル」。6度のトニー賞に輝くオードラ・マクドナルドがジャズ界の伝説的な歌姫に扮し、歴史に残るパワフルなパフォーマンスを披露する。
トニー賞® 演劇主演女優賞(2014年)オードラ・マクドナルド
トニー賞® 演劇音響デザイン賞(2014年)スティーヴ・キャニオン・ケネディ
配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
〈米国/2016/ビスタサイズ/90分/5.1ch〉日本語字幕スーパー版