こんにちは! 松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員Hanaです。今回も音楽のお話ですが、2つの話題を。まずはアーヴィング・バーリンさんがご活躍された時代について。そこから打って変わって、近年のJ-POPの変化のお話もしたいと思います。100年あまりで映画を取り巻く音楽はどのように変化したのか?
カバー画像:ⒸJenny Anderson

松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。

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前回はアメリカを代表する音楽家アーヴィング・バーリンさんの「チーク・トゥ・チーク」が、BTSのV(テテ)さんにカバーされていることをご紹介しました。そこから、過去の楽曲が今でもカバーやサンプリングなど、形を変えながら親しまれ続けているというお話をしました。

90年ほど前の曲が、カバーやサンプリングなどで今も親しまれているのはすごいことですよね。改めてアーヴィング・バーリンさんの楽曲の素晴らしさを感じるとともに、フィーチャーしているアーティストの方々にも「歌い繋いでくれてありがとう」と感謝を述べたくなります。

今回は、アーヴィング・バーリンさんがご活躍された1920〜1940年代はどんな時代だったのか?というお話から始めたいと思います。次いで時間と場所をぐっと変えて、近年のJ-POPに見られる、ある変化についてお話します。どちらも映画とそれを取り巻く音楽のお話です。

トーキー台頭の時代に活躍したアーヴィング・バーリンさん

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まずは、アーヴィング・バーリンさんがご活躍されていた時代はどんな時代だったのかを振り返ります。

アーヴィング・バーリンさんが映画音楽を多く手がけるようになったきっかけは、1927年にアル・ジョルスンが映画『ジャズ・シンガー』の中で歌った「ブルー・スカイ」(アーヴィング・バーリンさん作詞作曲)がきっかけだと言われています。この曲はトーキーに取り上げられた最初の歌のひとつとなりました。

画像1: Blue Skies open.spotify.com

Blue Skies

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というのも、1927年公開の映画『ジャズ・シンガー』は、世界初の長編トーキーなのです。それまでは音のない「無声映画」が主流でしたが、『ジャズ・シンガー』を皮切りに、声や音楽のついた映画「発声映画(トーキー)」が台頭し、人気を集めていきます。

このあたりの時代に興味のある方は、映画『バビロン』(2022)をご覧になると、トーキーへ移り変わる最中の、アメリカの映画業界の雰囲気がよくわかると思います。

その後は、映画と音楽やセリフを結びつける…つまりミュージカル映画が人気を博します。そしてこの頃に活躍されたのが、アーヴィング・バーリンさんです。この頃には、シンフォニックといえば良いでしょうか、クラシック音楽のようなオーケストラによる音楽が主流でした。

現代の日本の映画音楽

さて、時間も場所も変わって…現代の日本の映画音楽はどうでしょうか? 現代の日本の映画音楽では様々な音楽が起用されていますが、最近では……

  • 『スラムダンク』エンディング主題歌
     第ゼロ感/10-FEET
  • 『すずめの戸締り』主題歌
     すずめ/RADWIMPS、十明
  • 『ミステリと言う勿れ』主題歌
     硝子窓/King Gnu
  • 『竜とそばかすの姫』メインテーマ
     U/millennium parade,Belle

などの曲は印象に残っている方も多いのではないでしょうか?

このように映画に起用される音楽に限らずですが、最近のJ-POPはある特徴が顕著になってきているように感じられます。あくまでも個人的な感想ですが…

  • イントロが短いor特徴的なメロディーであることが多い
  • テンポが速い
  • ボーカルがハイトーンや裏声を多用する

このような楽曲が増えてきていると感じます。

「イントロが短いor特徴的なメロディー」の曲が増えてきていることは、いろいろな方が言及されています。音楽配信アプリの普及により、最初の数秒で「聴くか聴かないか」を選択されてしまうようになったことや、音楽が「バズる」風潮からキャッチーなメロディーが注目を集めやすいようになってきているのではないかと考えられます。

さらに、最近流行りのJ-POP、例えばOfficial髭男dism、King Gnu、YOASOBI、Adoや藤井風など、ボーカルの男女を問わずハイトーンや裏声が多いように感じます。それだけではなくテンポも速いので、カラオケで歌うことは非常に難しい…と感じるなど……。

個人的に、このような変化は2010年代のVOCALOIDの台頭から顕著になったのではないかと推測しています。VOCALOIDの登場により、アーヴィング・バーリンさんのようにピアノが弾けなくても、PCで曲作りができるようになりました。
※ヤマハが開発した音声合成技術。有名なのは「初音ミク」、それからGACKTさんの声をもとにした「がくっぽいど」なども話題になりました。

このような曲作り方法の変化により、よりキャッチーなメロディー、よりテンポが速い曲作りが容易になったと考えられるのではないでしょうか?

そして、VOCALOIDの流れがJ-POPにも波及している例として、米津玄師さんは以前ハチという名義でボカロPをしていましたし、YOASOBIの作詞作曲を担当するAyaseさんもボカロPとして活動されていました。元ボカロPがJ-POPの楽曲を作詞作曲するようになっているのです。
※ボカロP:ボーカロイドソフトを使って楽曲を制作する人のこと。PはプロデューサーのPです。

…というところで、アーヴィング・バーリンさんがご活躍されていた1920~1940年代と現代では、作曲方法も異なり、大衆にウケやすい楽曲の特徴も大きく変化しています。

しかしそんな現代でも、カバーされ続けバズってもいるアーヴィング・バーリンの楽曲は、まさに時代を超える名曲揃いです。ぜひ、松竹ブロードウェイシネマ『ホリデイ・イン』でアーヴィング・バーリンさんの名曲たちをお楽しみください!

松竹ブロードウェイシネマ『ホリデイ・イン』2023年10月6日(金)公開

『ホリデイ・イン』
2023年10月6日(金)より全国順次限定公開!

画像: 『ホリデイ・イン』 youtu.be

『ホリデイ・イン』

youtu.be

ブロードウェイ・ミュージカル「紳士のための愛と殺人の手引き」のブライス・ピンカム、
エミー賞受賞作品『ハイスクール・ミュージカル』のコービン・ブルー共演!

『セックス・アンド・ザ・シティ2 [ザ・ムービー]』振付師のデニス・ジョーンズが、トニー賞にノミネートを果たした超話題作!

ストーリー
舞台俳優のジムは、アメリカのショービジネスを引退し、エンターテイメントの街からコネチカット州の農場への移住を決意する。以前の生活とは一変しているところに、多才で活動的な農場の元オーナーの娘であるリンダと出会う。

そこで、農場の家をホテルに改築し、感謝祭、独立記念日、バレンタインデー、クリスマスなど、祝い事の度にショーを披露することを思いつき、ゴージャスな催し物を展開していく。

やがて、ジムとリンダの間に特別な感情が芽生えるが、ジムの親友であるテッドが現れ、テッドのダンスパートナーとして、リンダへハリウッド行きの話を持ち掛けてしまう。

「愛」と「夢」の選択、果たしてどちらが選ばれるのか!?

上映劇場はこちら

配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
〈米国/2017/16:9/122分/5.1ch〉 日本語字幕スーパー版

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