カバー画像『ジャニス・ジョプリン』より ©Jason Niedle
リブレット舞台とは?『ジャニス・ジョプリン』の魅力
リブレットLibrettoとは、歌劇などの台本のこと。最近では、歌のみで綴られる舞台を”リブレット舞台”と呼んだりもする。
ブロードウェイの話題作を次々に日本に紹介してきた松竹ブロードウェイシネマだが、今回上演される『ジャニス・ジョプリン』は、リブレット舞台の楽しみが凝縮された作品だ。まず、音楽のパワーが半端ない。ライブハウスを訪れたようなセット、鳴り響くロックサウンドに乗って、ジャニスが自身について語り、心を込めて歌うのはヒット曲の数々だ。
『ジャニス・ジョプリン』のオリジナリティ
一人語りを軸にライブのように構成された舞台では、たとえば『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』などが日本でも人気が高い。が、本作がユニークなのは、ジャニスの音楽的インスピレーションの源となった、ソウルの女王アレサ・フランクリンら偉大なる歌姫たちがステージに加わるショーであることだ。
ブロードウェイ上演時の劇評は次のように述べている。
『ジャニス・ジョプリン』はアメリカ音楽界の偉大なアイコンの一人に捧げる、騒々しくてエネルギーに満ちたトリビュート作品としては、喜びに満ちた爆発的な作品となっている
ブロードウェイでの上演後は全米各地の劇場で大きな注目を浴び、3度に渡る北米ツアーはすべて完売、好評を博した。
2014年トニー賞ミュージカル部門最優秀女優賞ノミネート!
ジャニス役メアリー・ブリジット・デイヴィスのパワー
"ここにジャニスがいる"と信じさせてくれるのは、メアリー・ブリジット・デイヴィス。20代でブルースバンドのフロントを担当し、2005年よりジャニス・ジョプリンのショー『Love, Janis』に参加。子供の頃からハロウィーンにジャニスの扮装をしていたくらいジャニス・ジョプリンの筋金入りのファンだという彼女の存在が、本作のクオリティーを確かなものとした。
ジャニスの音楽性を正確に捉え、たんなるモノマネとは違うパフォーマンスを見せつつ、ジャニスとして観客に語りかけるさまは圧巻の一言だ。
メアリー・ブリジット・デイヴィスは、ジャニス・ジョプリンとして嵐のような叫び声を上げる
── Hollywood Reporter誌
デイヴィスがジョプリンを見事に歌い上げ、ショーのほとんどの時間、会場を揺らし続けている
── New York Times
などメディアも絶賛。ワシントン・ポスト紙のインタビューに「ジャニスになるため、精神面、歌唱面での準備を一日中している」と語っていたデイヴィス。これは運命の役との出会いだったのだ。
映画に見るジャニスの短くも波乱な人生
タフな外見の内側に孤独な女性を隠していたジャニス・ジョプリンの人生は、映画にもなっている。亡くなって4年後の1974年に製作された『ジャニス』は、60年代に女性で唯一ロックスターの仲間入りを果たした彼女の伝記ドキュメンタリー。日本では長らく未公開で1990年になってようやく陽の目を見たものの、限定的な公開だった。
2016年に日本で劇場公開された『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』を覚えているファンは多いのでは。
保守的な米南部の学校になじめない繊細な少女が、やがてブルースやフォークに目覚め、ベトナム戦争などによる60年代という変革の時代を象徴するスターになっていく過程、さらに27歳の若さで亡くなるまでの人生を、バンドメンバーや親しい友人たちのインタビュー映像、本人の手紙などで描き出した女性監督エイミー・バーグによる渾身の一作だ。
2021年7月2日(金)、いよいよ公開される『ジャニス・ジョプリン』。ジャニスファンはもちろん、まだ馴染みがない人もぜひ魂のパフォーマンスに触れて欲しい。彼女が登場したときから声援が湧き上がり、生のバンドの音、圧巻の歌声、劇場にいる臨場感が忘れられない記憶になるはずだから。
ジャニス・ジョプリン
2021年7月2日(金)より全国順次公開!
ストーリー
元祖・音楽フェスティバルの女王にして伝説のロック・スター、ジャニス・ジョプリン。数々の名曲をジャニスが熱唱し、彼女が音楽的にも影響を受けたアレサ・フランクリン、エタ・ジェイムス、オデッタ、ニーナ・シモン、ベッシー・スミスと共に感動のステージを披露する。「孤独」と生涯戦ったジャニス・ジョプリン。そんな中、ジャニスが自らの物語を語り始める。