演劇の聖地、ロンドンでセンセーションを巻き起こす!
2013年に開幕したブロードウェイ版の大成功を受け、『キンキーブーツ』がロンドンの劇場街、ウエスト・エンドに上陸したのは2015年。8月21日にアデルフィ・シアターでプレビューが始まり、9月15日にオープニングナイトを迎えた。
スタンディング・オベーションが巻き起こる興奮に包まれた初日の劇場には、同劇場の主宰者で世界的プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュ、人気テレビ司会者のグラハム・ノートン、歌手のビヴァリー・ナイトなど有名人の姿も。
そして開幕直後には各メディアが大絶賛。ロンドンの批評家たちの絶賛ぶりをいくつかご紹介しよう。
『キンキーブーツ』、ウエスト・エンドの公演で大好評!
最高の作品
── ガーディアン紙
伝播していく力を持った輝かしいハイキックが大暴れ
── スタンダード誌
めくるめく生意気で高揚感があるストーリー
── タイム・アウト誌
などなど、賞賛の声でメディアは埋め尽くされた。
2016年にはイギリスの伝統あるオリヴィエ賞の最優秀ミュージカル作品賞に輝き、ロンドンの最も人気の高いミュージカルとして、2019年4月までロングラン大ヒットを記録。
ちなみにアデルフィ・シアターは、客席数1436のウエスト・エンドの名門劇場の一つ。2020年には新作ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が開幕して注目を浴びた場所。
その劇場にとって、近年のヒット作の筆頭はやはり『キンキーブーツ』だ。
強烈で愛すべきカリスマ、ローラの存在感に代表される本作のパワーに惹きつけられたのは、英米だけではない。
オーストラリア、スウェーデン、韓国、そして日本とまさに作品の力は伝播していった。このコラムをご覧になっている方もその1人では?
原作映画「キンキーブーツ」とは
ここで原作となった映画公開当時のことも振り返ってみたい。
2005年のアメリカで公開当初のスクリーン数は9、イギリスでは200を超えるスクリーンで上映された「キンキーブーツ」は、映画としてはいわゆる小規模作品に入るだろう。
イギリス映画にはこの作品に限らず、特に労働者階級を描いたコメディーの良作が生まれ、愛されてきた土壌がある。
だが、それがミュージカル化され、これほど成功したのは稀有であり奇跡であり、その要因の一つには、やはりローラというカリスマの存在が大きいと思うのだ。
公開当時より、各メディアが以下のコメントを寄せ注目されていた。
とんがったユーモアはピンヒールよりも鋭い。今年最も満足度の高いこの英国映画に一票。こんな腹から笑うことはめったにない。大ヒット間違いなし!
── BBC フィルムレビュー
爽快な英国コメディーは「フル・モンティ」以来の快挙!
── デイリーミラー紙
爽快な脚本と素晴らしい演技力で観客を限りなく魅了する。エネルギッシュでスタイリッシュ!必見です!!
── グラマー誌
心地よさと心温まるこの映画は、全ての人の心を捉えるだろう
── ニュース・オブ・ザ・ワールド紙
あらためて“ローラ”の魅力を語りたい!
ドラァグクイーンはこれまでも映画で描かれてきたが、ローラはそのどれとも違っていた。自らの人生哲学を持った彼女の言葉は、“自分らしく生きたい“を願う人々の勇気を与えてくれる。
そんな役だけに、誰もが演じられるわけではない、難役といってもいいだろう。赤いブーツを履き、キレキレのダンスを繰り広げ、歌で圧倒しなければならない。その上、ローラならではのユーモアで観客を魅了するのだから。
時を超えて海を越えて、今、日本で観ることのできる最高のミュージカル
松竹ブロードウェイシネマの魅力は、劇場の臨場感を丸ごと味わえることだ。世界が未知のウィルスと直面している今、ロンドンやブロードウェイに行きたくても海を越えることは難しい。
だからこそ現地の雰囲気そのままに作品を体感できるのは、ミュージカルファン、『キンキーブーツ』を愛するファンにとって救いであり喜びだ。
映像ならでは、至近距離の表情が見えるので発見があり、映画館に足を運びさえすれば何度もあの感動を味わえるのも嬉しい。
音楽が耳に記憶として残り、見れば見るほど感動ポイントに自然とスイッチが入ってより感動が増していくのは優れたミュージカルだからこそ。
ロンドンのお客さんと一緒になって心奮い立つ舞台を、さあ、ローラと一緒にヒールを履いた気分で楽しもうではないか!