カバー画像:『パリのアメリカ人』よりⒸAngela Sterling
松竹ブロードウェイシネマ新人女子部員ブログ『マイブロードウェイ』。洋楽・ミュージカル映画好きなアラサー女子がミュージカルについて気ままにおしゃべり。歌やダンス、演技や衣装などなど…心躍るミュージカルの世界に没頭していきます。
無観客だけど無観客じゃない!
コロナ禍において、さまざまなアーティストさんがインターネットを通じてライブ配信を行っていますが、皆さんはご覧になったことはありますか?
私は、お気に入りのバンドTシャツを着て、自宅ということもあり、人の視線を気にせず思いっきり歌ったり踊ったり、はたまた歌を聴いて涙したりと、お家Liveを満喫しています(笑)
自宅に居ながら生ライブを鑑賞するなんて、ほんと数年前までは考えられなかったですよね。大好きなアーティストやバンドの歌をここしばらく生で聴けていないのはもちろん寂しいですが、ドローン映像やCG技術など、配信ライブならではの演出に新鮮な驚きと可能性を感じています。
あるアーティストのライブで、このような言葉がありました。「無観客ライブは決して無観客ではない」ということ。私は大変共感しました。想いを伝えたいアーティストの気持ち、創り出される音楽や世界に触れたい観客の気持ちが存在する限り、ライブは実現するものだ、と。
観客のいない会場で、アーティストがひとり弾き語る姿は特に胸が熱くなり、この熱さはライブで感じる熱さと同じものがあると思います。また、胸に刺さる歌詞を聴くたびに「なぜこんなにも離れているのに私の心の内がわかるのだろう」と錯覚し、うるっと涙が出てきてしまいます。
異なる場所で遠く離れているからこそ余計、アーティストの情熱や歌詞の重みが感じられる、特別な時間。形は変われど、音楽の素晴らしさ、エンターテイメントの大切さは変わらないと改めて実感した体験でした。
絶対に譲れないものがそこには在る
さて。前回のブログでは、ミュージカル舞台とミュージカル映画、それぞれの魅力についてお話させていただきました。今回は、バレエ映画について注目したいと思います!
過去のブログで海外のトップバレエダンサーについてお話した際もバレエ映画を取り上げましたが、皆さんはバレエ映画と聞くとどんな作品が思い浮かぶでしょうか?
バレエ映画は、ストーリー作品の他にも、ドキュメンタリー作品などもたくさんありますが、今回は数ある作品の中から3つのバレエ映画についてお話しします!
アカデミー賞を5冠獲得した衝撃作!『ブラック・スワン』(2010)
バレエ映画でまず思い浮かぶのはこの作品、という方も多いのではないでしょうか。この映画が公開されたとき、私はかなりの衝撃を受けたことを覚えています。
ナタリー・ポートマン演じるプリマバレリーナのニナが、バレエに全身全霊を捧げながら幻覚に踊らされ、自分自身を見失っていくサイコスリラー映画。2011年度のアカデミー賞にて作品賞・主演女優賞を含め5つの賞を受賞した、素晴らしい作品です。
ダークな展開にハラハラドキドキが止まらないのですが、中でも素晴らしいのがナタリー・ポートマンの演技。
まさに大女優、といった演技はもちろんですが、劇中の「白鳥の湖」の舞台にて白鳥と黒鳥それぞれを演じる姿はまるで本物のバレリーナのようです。純粋で臆病な白鳥と、情熱的な黒鳥の二面性を表現し、その姿には誰もが釘付けになるに違いありません。アカデミー賞受賞も納得です!
夢・青春・恋愛すべてが詰まったバレエ映画『センターステージ』(2001)
ニューヨークの名門バレエ団 アメリカン・バレエ・カンパニー付属のアカデミースクールにてプロの団員を目指す練習生たちの青春を描いた本作品。バレエスクールでの厳しい現実や悩みに衝突しながらも、プロを目指し努力するダンサーの卵たちの直向きな姿は、観ていて元気をもらいます!
スクールのレッスン風景はもちろん、ダンスシーンがたくさんあるため、つい踊りたくなってしまいます♪ 中でもプロへの登竜門となるクライマックスの発表会シーンはとても素敵です。
また、友情や恋愛模様も眩しいくらいフレッシュで、個性的なキャラクターたちがストーリーをハッピーに盛り上げます。ぜひおすすめです!
伝説のバレエダンサーヌレエフの人間性に触れるバレエ映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(2019)
伝説のバレエダンサー ルドルフ・ヌレエフの半生を描いた本作品。監督は、『ハリー・ポッター』シリーズで有名なレイフ・ファインズです。
主演を務めたのは、当時タタール国立オペラ劇団のプリンシパルダンサーのオレグ・イヴェンコ。本作が初のスクリーンデビューでしたが、「本当にこれがデビュー作!?」と感じさせるような、迫真の演技が素晴らしいです。伝説のダンサー ヌレエフの凄みやバレエ・芸術への情熱が画面越しにひしひしと伝わってきます。特に物語後半での緊張感のある展開には目が離せません。
もちろん、バレエ舞台のパフォーマンスも見どころです。場の空気を変えてしまう圧倒的支配感、他のダンサーにない豊かな感性と表現力が感じられます。ステップで弾き出される音にも臨場感があり、その場の迫力や温度感が伝わってきます。
また、劇中でのヌレエフの台詞がなんとも哲学的で、心に刺さるものがあります。ご鑑賞の際はぜひ注目してみてくださいね。
いかがでしたでしょうか?(*^^*)♪
3作品のバレエ映画にはある共通点があると私は思います。それは“バレエへの直向きさ”。
主役を掴みたい、憧れのプロ団員になりたい、誰にも縛られず自由に踊りたい、などそれぞれの想いはありますが、これほどまでに犠牲や努力を捧げるバレエへの信念は本当に素晴らしいと思います。その信念があるからこそ、たくさんの人々を引きつける力があるものだ、と再認識しました。
10月より公開される『パリのアメリカ人』では、そんな人々を引きつけて止まない本格バレエ舞台が楽しめます。
松竹ブロードウェイシネマでは、ダンサーたちの情熱的なパフォーマンスをリアルに体験することができ、“ここにバレエが在る!”空間そのものが丸ごと味わえます。ぜひ劇場でお楽しみください!
ではまた次回お会いしましょう!
パリのアメリカ人
2021年10月15日(金)より全国順次限定公開!
歴史にのこるアカデミー賞受賞映画、名作恋愛ミュージカルを舞台化!トニー賞に輝く、ブロードウェイ・プロダクションとキャストが贈る、最上級ブリティッシュ・エンタテインメント!
【ストーリー】
主人公ジェリー・マリガン(ロバート・フェアチャイルド)は、アメリカ人の退役軍人。戦争が終結し、多くの希望やチャンスに満ちあふれたパリで、画家を目指している。ジェリーが若く美しいダンサー、リズ(リャーン・コープ)と運命的な出会いを果たすと、終戦後のパリの街並みを背景に、芸術や友情、恋をめぐる官能的かつ現代的なロマンスが展開する。
ⒸAngela Sterling
©2018 Swonderful Rights Limited
©BroadwayHD/松竹
〈英国/2018/ビスタサイズ/139分/5.1ch〉日本語字幕スーパー版