※今回は「松竹ブロードウェイシネマ」全ての作品の広告デザインと印刷を担当して頂きました、株式会社久栄社の向鋭さんにお話をお伺いしました。デザインや印刷を行う上でのご苦労や工夫など裏話を語って頂きました。
2017年公開の「ホリデイ・イン」から始まって「シー・ラヴズ・ミー」「42ndストリート」「ロミオとジュリエット」「シラノ・ド・ベルジュラック」の5作品のデザインと印刷を担当させて頂きました、久栄社の向と申します。宜しくお願い致します。
今まではデザインは他社のデザイナーさんがやられて、印刷から我々が担当するというのが通常の流れだったのですが、「松竹ブロードウェイシネマ」についてはデザインから担当しましたので、今までの作品とは違う形で携わらせて頂きました。一般企業の印刷をする場合は、このような流れもあるのですが、映画会社の印刷をする場合は、このようなケースはほとんどなかったので新鮮な気持ちでご協力させて頂く事が出来ました。初めから携わることによりスムーズに進める事ができた感じはありました。今までは初号試写(スタッフ用試写)から観させて頂いた事はなかったので、初号試写(スタッフ用試写)から拝見させて頂いて、作品に対する思い入れも強くなりました。またブロードウェイのミュージカルそのものも、今まで観たことがなかったので、今回のお仕事を通じてブロードウェイ・ミュージカルの魅力を知る事が出来ましたので、個人的に「松竹ブロードウェイシネマ」に携わらせて頂いて本当に良かったなと思えるお仕事になりました(笑)。
「ホリデイ・イン」が最初に担当させて頂いた作品でしたので、初めは手探りだったのですが、「ブロードウェイのミュージカルが日本の映画館で観れる」というコンセプトを頂いて、イメージがはっきりしました。ロゴデザインについても本国のロゴを元に、我々がデザインさせて頂きました。
「松竹ブロードウェイシネマ」のロゴも、ビクトリア調でというプロデューサーのご意向を受けて、イメージを膨らませてみました。歴史あるブロードウェイの重厚さ厳格さ華やかさを表現した書体や飾り、シネマとしての存在感を表す映写機のフィルムを連想させる帯、様々な作品に対して調和する全体的なフォルムを意識しながら、松竹ブロードウェイシネマとして、日本のブロードウェイファンの皆さんに特別な時間を提供するポリシーを感じられるようなデザインに仕上げました。
「42ndストリート」のロゴは、作品イメージである、「夜」「ネオン」「煌びやかな舞台」を彷彿させる当時の劇場のネオンサインをイメージして、煌びやかな照明みたいなものを全面に散りばめたりするなどの工夫をしてデザインしました。また、チラシやポスターについては、大恐慌に陥った暗い時代に光が射すイメージをメインにし、厳しい世界ながらステージに立つことを目指す情熱ある主人公と、生き生きと迫力あるダンスを披露するダンサーの躍動感を表現しました。それが観客の皆様に伝わって頂けたら嬉しいですね。
画像についても、より鮮やかな感じを表現するために色合いを微調整してメリハリ感を出すように工夫させて頂きました。また5作品とも光沢を出すために紙質は全てコートにして拘りましたね。今回は色見本がなかったので、全て自分たちで色を決めていかなくてはいけなかった部分が苦労しましたが、その分やりがいもありました。
これからも観客の皆様に、作品の魅力が伝わるポスターやチラシを作っていきたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。