松竹ブロードウェイシネマにて全国限定公開される名作恋愛ミュージカル『パリのアメリカ人』。いよいよ明後日公開されます!公開を記念して、主演のジェリー・マリガン役を務めたロバート・フェアチャイルドさんに国内初インタビューを行いました。ミュージカルに出演したきっかけや、共演者とのエピソード、本作の見どころなど魅力的なお話が満載。インタビュワーに松竹ブロードウェイシネマ予告編ナレーションでお馴染みのサッシャさんをお招きし、終始笑顔が絶えないスペシャルなひとときとなりました。ぜひご覧ください!
カバー画像:(左)『パリのアメリカ人』よりⒸAngela Sterling(右)ⒸRyan Slack

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『パリのアメリカ人』主演ロバート・フェアチャイルド インタヴュー動画

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ロバート・フェアチャイルド プロフィール

(左)『パリのアメリカ人』より

(左)ⒸAngela Sterling(右)ⒸRyan Slack

スクール・オブ・アメリカン・バレエ卒業。2005年、ニューヨーク・シティ・バレエ団の研修生を経て正団員となり、2009年にプリンシパルへ昇格。

主な舞台出演:2015年『パリのアメリカ人』初演にてジェリー・マリガン役を務め、ブロードウェイデビューを飾り、トニー賞ミュージカル主演男優賞にノミネート。また、ドラマ・デスク賞およびアウター・クリティクス・サークル賞のミュージカル男優賞、アステア賞最優秀男性ダンサー賞、シアター・ワールド賞を受賞。ドラマ・リーグ賞ディスティングイッシュド・パフォーマンス賞にもノミネートされた。

2016年には、ハリウッド・ボウル版『コーラスライン』のマイク役、ブロードウェイで上演されたラウンダバウト・シアター・カンパニーのチャリティ―公演『キス・ミー・ケイト』でビル・カルフーン役を務めた。

主な映画出演:『NY エクスポート:オーパス・ジャズ』(2010)、『キャッツ』(2019)

画像: ラジオDJ、ナレーターなど多方面でご活躍するサッシャさん。ロバートさんとの息ピッタリなトークは必見です!

ラジオDJ、ナレーターなど多方面でご活躍するサッシャさん。ロバートさんとの息ピッタリなトークは必見です!

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── 本日は、お越しいただきありがとうございます。

お招きいただき、光栄です。

── 先日のトニー賞受賞式、追悼コーナーのパフォーマンスは最高でした。実際に踊られたご感想をお願いします。

このように、演劇界の栄えある催しに参加させていただけること自体、とても名誉なことですし、アン・ラインキングへの追悼を依頼されたことも、身に余る光栄です。

依頼されてすぐに、アンらしさを探ろうと、ネットで彼女の映像や作品を検索しました。演劇界に多大な貢献をした彼女に、オマージュを捧げたいと思ったんです。

── なるほど、素晴らしいですね。日本では、『パリのアメリカ人』の舞台が映画館で今週金曜日から公開されます。ブロードウェイでこのミュージカルに出演したきっかけを教えてください。

注:今回日本で上映するのは、イギリスのウエストエンド公演版ですが、プロダクションの始まりはブロードウェイ公演からです。故に、どこで公演してもブロードウェイ・プロダクションとなります。

当時、僕はニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパル(最高位のダンサー)でした。実は、『パリのアメリカ人』の演出・振付を担当したクリストファー・ウィールドンも、同団の元ダンサーで、ここから振付家としてのキャリアをスタートさせたんですよ。

彼は、僕がタップダンサーとして出演したフレッド・アステアの追悼ガラ公演を観て公演後の晩餐会にて、僕にこう声を掛けたんです。

「君、歌はうまい?」ってね。

「聴く人の評価にもよるでしょうね」と答えたところ今、進行中のプロジェクトがあるので、オーディションに参加してほしいと言われました。

オーディションを受けたのは僕が初めてで、会場は音楽監督の自宅。音楽監督とクリス、脚本家が立ち会いました。怖かったですね。

それまでクリスとは何度も仕事をしていましたが、歌うことになって、すごく緊張しました。彼の顔を見ながら歌うのは無理なので、壁の方を向いたまま歌わせてもらいました。僕の歌は、基準をクリアしたようですね。

その後、優秀な演技コーチと歌唱コーチを付け、僕に賭けてくれましたから。初回のワークショップの1年半前のことです。その後も、進捗状況を確認するために、何度かオーディションがありました。

ダンサーとして12年間舞台に出演してきましたが、舞台で声を出したことは一度もありません。舞台に立つことには慣れていますが、声を出すのはもちろん、歌うとなると、また別の話です。

最終オーディションのことは、一生忘れないでしょう。翌日、王子役で出演するバレエ団の『眠れる森の美女』の衣装付き通し稽古をしていると、幕間にクリスからボイスメールの着信がありました。

「これは失礼、ジェリー・マリガンさんのお電話と間違えました。ロブ、君が望むなら、この役は君のものだ。今後について、色々と話し合おう。最低でも1年間は、バレエ団をお休みしてもらわないといけないからね」

もう、即決ですよ。ブロードウェイの舞台に立つのは、長年の夢だったので、ごく自然な流れに思えました。

新作ミュージカルの初演キャストで、ブロードデビューを飾るなんて…本当に僕にできるのかなって。一人で背負うには、かなり大きな責任ですが、僕は元々挑戦することが好きなんです。

その後、ワークショップに参加し、年内のリハーサルを経て、パリのシャトレ座でのオープニング公演に臨みました。それから、ブロードウェイに凱旋して、ロンドンへ…その後は、世界各地を巡りました。

── ジェリー役を演じるにあたり、どのような役作りをしましたか? 映画版『巴里のアメリカ人』(1951)主演ジーン・ケリーのことを意識しましたか?

そうですね。現代に、本作品を再演することの面白さについてお話しましょう。映画が制作された当時は、戦後間もなくですから現実の厳しさをぼかし、理想を交えて主題を描写していたように思います。

再演に当たり、当時の社会の過酷なあり様を観客にお見せする機会が得られました。戦時中、芸術家たちが、どのような影響を受け、状況に対処していったかという点についてもです。

今回の再演版が、映画をベースにしていることは確かです。ただ、本作では(映画ではぼかされていた部分を)よりクリアに表現することができました。

ジーン・ケリーについては、実は、僕がダンサーを志したきっかけとなったのが、ジーン・ケリーなんです。子どもの頃から、彼の踊りを研究し『巴里のアメリカ人』も、何回も観ています。

ですから、彼のダンサーとしての神髄や身体性については、理解していました。でも、自分の理想とする存在には追い付けないので、追いつくのではなくオマージュや敬意を払おうとしました。

目の前にジーン・ケリーがいたら、きっと「自分らしくやりなさい」と指導してくれたはずです。「私になろうとはするな」って。

大切なのは、先人に倣い、バトンを受け取って、未来へと受け継ぐこと。このようにして、オリジナル版の役を自分のものにしました。ジーン・ケリーなら、「自分らしくやりなさい」と言ってくれると思います。

── ジェリー役を演じて、楽しかった点と辛かった点を教えてください。

まず、辛かった点については、ニューヨーク・シティ・バレエ団では、週に2回ほど全幕バレエに出演し、他の回には別のキャストが出演します。体への負担が、大きいですからね。

一方、こちらも、全幕バレエのようなものですよ。とにかく踊りが多く、クライマックスには壮大なバレエシーンがありますからね。

ですから怪我をせず、体調を万全の状態に保つために、戦略を立てねばなりませんでした。アイスバスに入って…氷でいっぱいにした巨大な樽に入るんです。

── わぉ!

公演が終わる度に、太ももの半分くらいまで氷に浸かりました。そうしないと、両脚がソーセージのようにパンパンに腫れてしまいます。終演後に、できるだけ早く新鮮な血液を循環させれば、回復が早まります。

また、専用の台に乗り、全身逆さまになって寝たり…。週8回も、舞台の固い床で踊るので、十分にケアしないと、今後、二度と踊れなくなると思いました。体調を維持する方法を考えるのが、大変でしたね。

一番楽しかったのは、それ以外のすべて。本当ですよ。仲間と遊び、歌い、芝居をすること。舞台裏で、お互いをからかったり、おどかしたりと、ふざけ合うこと。上演中には、舞台上でも舞台裏でも、色々なハプニングや面白いことが起きます。

ストーリーテラーや、舞台に魔法をかけることが好きな人たちの仲間に入れてもらえて、実に光栄です。その上、ガーシュウィンの音楽もあります。

── そうですね。

良い音楽とは、飽くことなく、何度も繰り返し聴くことができるものです。ガーシュウィンの曲なら、永遠に聴いていられますよ。

── 共演者の皆さんとの息もピッタリですね。他の俳優の方々との、楽しかったエピソードがあったら教えてください。

パリのオープニング公演でのことです。映画版には出ていませんが、パリとブロードウェイでマダム・ボーレル役を務めたヴィアン・コックスという俳優がいます。

シャトレ座の舞台裏は広いので、ヴィアンと僕はセットの裏に隠れてお互いを脅かし合っていました。かなり年の差があるのに、子どもみたいにじゃれ合っていたんです。いきなり飛び出して、脅かすようなことはしません。上演中に悲鳴が聞こえたら、大変ですからね。

物陰からゆっくり姿を現して…「ひゃあっ!」。この仕事が楽しいと思えるのは、こういうささやかな瞬間なんです。他にもありますが、たくさんあり過ぎて思い出せません。とにかく、すごく楽しかったですね。

── 初日にそんな風にふざけていたなんて、余裕があったんですね?

いやいや…。劇場入り後、3週間かけて技術面の確認をしながら上演の準備をするので、初日まで結構時間があったんです。照明のキュー出しを待つ時間とかね。

そんな風に、自分の出番を待っている間に、始まったことじゃないかな。本番では、観客に作品を届けることに集中しますよ。その一方で、どうやって楽しもうかと考えたりもしますけれどね。

── 演出家のクリストファー・ウィールドンからは、ジェリー役を演じるにあたり、どのようなアドバイスがありましたか?

もちろん。彼は音楽と踊りのある演劇のような作品を目指していました。現実に根差した作品にしたかったんじゃないかな。突然、歌い始めると、必然性や人間味、リアリティが失われることもありますから。

「バレエダンサーである君の体つきは、陸軍の兵士らしくないから、もっと体を大きくしてほしい」とも言われました。「ダンサーとして、戦時中における兵士の身体性を理解してほしい」と。

クリスの言うとおりです。大きなものを持ち上げるために必要な力と筋肉を付けると、動作へのアプローチが変わってきます。動きに厚みが出ると言うか、しっかりした印象が出ます。こうして細部にこだわることによって、演技に味付けをしていくんです。表現者としてリアリティーのある役作りをし、ダンサーとして全身で役柄を表現することが重要です。

── 体を大きくすると、体のバランスが損なわれるのでは?

ボディビルダー並みに鍛えたわけではありません。それに、当時の陸軍兵はほっそりしていたんですよ。

── そうなんですね。

筋肉ムキムキではなく、全身を効率よく使う力があったんです。しっかりした体つきではありました。

何も、アーノルド・シュワルツェネッガーを目指したわけではなく、ただちょっと鍛えたくらいです。

── 日本のバレエ人口は世界一の規模数と言われ、全国4,630以上のバレエ教室と、僕の娘を含め、約40万人の生徒がいると言われています。バレエ・ダンサーを目指す子どもたちへのアドバイスがあったら、ぜひお願いします。

ダンスは、本当に大変です。多くを犠牲にして打ち込む力と、強い意志が必要です。「ダンサーを目指すべきだろうか?」なんて悩む必要はありません。

ダンスの虫に取りつかれた人なら、自ずとわかるでしょう。ダンサーは、生まれながらにしてダンサーなんです。「ダンサーを目指すべきだろうか」なんて質問は、1週間、一切ダンスをしたり、ダンスのことを考えたりせずにいられるかどうか。

趣味ならともかく、自分の人生を賭けて打ち込んでいることなら、ダンスの神様に対する義務や責任がありますよね。そのような情熱や自分を突き動かす想いに、身を委ねればいいんです。

そのような強い気持ちがなければ、ダンス界で成功することはできません。とにかく大変な努力が必要な世界ですから。皆さんは、非常に規律正しいので、きっとダンス界で大成功するでしょう!

── 素晴らしいアドバイスをありがとうございます。今後のお仕事のご予定をお聞かせください。

コロナ禍(ロックダウン)の最中は、不安でした。ダンススタジオは閉まっているし、キッチンカウンターに掴まってバーレッスンをしても、できることは限られていて、体調の維持が大変でした。

実は、花の会社を立ち上げました。創造的な活動がしたかったし、意外にもフラワーアレンジメントと舞台には共通点が多かったのです。

スタジオで作品作りをして、贈り先または観客に届けるという点もね。『パリのアメリカ人』ロンドン公演中に、フラワーアレンジメントの講座を受講したことがあります。

セラピーのようで、すっかり虜になりました。くすねた公演の無料チケットと引き換えに、花屋の講座を受けていたくらいです。こうして、すっかり花好きになりました。

この期間、活躍の場を失い、苦しい思いをしているダンサーたちにアドバイスを贈ります。僕たちは、創造的な人間です。理由が怪我であれ何であれ、一時期、体が使えないからと言って喜びや幸せを見出だし、体を動かす歓びを表現することができないわけじゃない。

僕は、体を動かす歓びを花の動きで表現し、アレンジメントの中で花々を踊らせました。このように、あらゆる活動を通じて、自分の創造性を発揮すればいいんです。

ダンサーとしての寿命は短いですしね。ダンサーとして磨いたスキルを、新たなステージで活かすことを考えましょう。

また、現在は様々なプロジェクトの制作に携わっています。脚本家や作曲家と協力し、制作寄りの仕事を増やしつつあります。

また、11月には、ニューヨーク・シティ・センターで上演されるトワイラ・サープの作品に、ニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサーたちと共に出演予定です。とても楽しみです。

── 素晴らしい、幸運を祈ります。

ありがとうございます。

── 今週金曜日から映画館公開される『パリのアメリカ人』ですが、オーディエンスへ、もっとも楽しんでもらいたい見どころやシーンを教えてください。

映画館で上映されるんですよね?

── はい。そうです。

映画館での鑑賞体験は、ブロードウェイの劇場での鑑賞体験と似ています。徐々に暗くなる照明、映画が始まる前のワクワク感…。自宅での鑑賞時にも、同じ体験が再現できます。多くの人々と同じ空間で鑑賞できるのは、劇場の醍醐味ですよね。

演者である僕らが目指すのは、大勢の人々をひとつにすること。劇場で他人と隣り合わせてでもいいし、自宅で家族と一緒にでもいい。僕らの仕事の最も素晴らしい点は、人々をひとつにすることなのです。

劇中で、最も気に入っているのは、ギャラリー・ラファイエットの香水売り場でのシーン。古き良きブロードウェイを彷彿とさせるシーンですよね。演じていて、ハッピーな気持ちになります。

また、ジェリーが、自分の生きがいを見出だすシーンでもあります。画家として、芸術だけのために生きるのではなく、戦争のトラウマを経た自分に、ふたたび希望を与えてくれる人の存在に気付くんです。

希望を取り戻すこと──。まさに今、誰もが共感できる感情ではないでしょうか。いつか、この異常な時期を脱し、すべてが遠い昔の記憶になる日が来るのだと、希望や信じる力を与えてくれます。あのシーンには、誰もが求めている希望や願いの光を見出せると思います。

── 本作のストーリーは、コロナ禍の最中にある我々の現実とリンクしており、シンクロニシティが感じられるという意味で、最高のタイミングでの公開と言えます。

おっしゃる通りです。

── きっと、日本の皆さんにも大好評だと思いますよ。本日は、ありがとうございました!

ありがとうございました。

パリのアメリカ人
2021年10月15日(金)より全国順次限定公開!

上映劇場はこちら

画像: 『パリのアメリカ人』 youtu.be

『パリのアメリカ人』

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歴史にのこるアカデミー賞受賞映画、名作恋愛ミュージカルを舞台化!トニー賞に輝く、ブロードウェイ・プロダクションとキャストが贈る、最上級ブリティッシュ・エンタテインメント!

【ストーリー】
主人公ジェリー・マリガン(ロバート・フェアチャイルド)は、アメリカ人の退役軍人。戦争が終結し、多くの希望やチャンスに満ちあふれたパリで、画家を目指している。ジェリーが若く美しいダンサー、リズ(リャーン・コープ)と運命的な出会いを果たすと、終戦後のパリの街並みを背景に、芸術や友情、恋をめぐる官能的かつ現代的なロマンスが展開する。

ⒸAngela Sterling
©2018 Swonderful Rights Limited
©BroadwayHD/松竹
〈英国/2018/ビスタサイズ/139分/5.1ch〉日本語字幕スーパー版

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